コーヒー







コーヒーっちゅーものは、あれだね。苦いよね。
でも、あの苦味がうまいんだよな。
俺はでも、そんなにこだわりとかないからインスタントでもガブガブ飲んでたんだけど。
いやぁ、本格的なコーヒーを知ったらもう飲めないね、インスタント。
まぁ、飲んでんだけど。ちょっと通ぶってみたけども。
その、本格的なコーヒーと出会ったのは、家庭教師先でだった。



「うまい!」
「まぁな。一応豆にもこだわってるらしいから、母さん」
「やぁ、こりゃうまいわー」
「雅人、コーヒー好きなの?」
「まぁね」
「ふーん」

俺の受け持っている生徒は、中学三年の男で大悟という。
初めて会った時は、ほんとに中学生かてめぇって思ったけどね。
180cmはあろうかといった身長。
顔も女にもてそうな男前。

「お前さぁ、彼女とかいんの?」
「え!!い、いねぇよ」
「まじで?もてそうなのに」
「・・・・・・」
「同級生じゃ物足りなくて、高校生とかにも手ぇだしそーな感じ」
「・・・・・・」

図星だったようだ。
まぁ、そんな大悟も受験生になって無理やり家庭教師をつけられたらしい。

「最初は、追い出してやろうと思ったんだ」
「へぇ、じゃ、俺は合格だったわけ?」
「・・・・・まぁな」
「ははーん、さてはこの俺様の美貌にメロメローンになりやがったな」
「・・・・・・・」

おい、そこは突っ込むところだぞ。


そして俺は今日も今日とて家庭教師に行く。

「こんちはー!」
「よぉ」
「あれ、お袋さんは?」
「出かけてる。ママさんバレーの飲み会だって」
「ふーん、んじゃ上がらせてもらうぜ?」

なるほど、親御さんいないのか、ふむふむ。

「あれ?」

部屋に入ると。後から大悟がコーヒーをもってきた。

「この、コーヒーお前がいれたの?」
「まぁね」

んなことするタイプには見えないけどな。
恐る恐る飲んでみる。
そんな俺をじっとみる大悟。

「まずい」
「ええ!!」
「ウッソ。めっちゃうまいじゃん」
「んだよ、まったく」

雅人はぶうたれながらもホッとした顔していた。かわいいやつめ。

「しかし、もう夏だねぇ。暑い暑い」
「クーラー効いてない?」
「や、さっきまで外を激チャリしてきたから」

といいつつ、Tシャツの裾をパタパタする。
大悟は、顔を真っ赤にして顔を背ける。
・・・・・・おっもしれぇ。
ほんとに分かりやすい奴だな。

「大悟、お前ってやったことあんの?」
「な、何を??」
「セックス」
「!!」
「なぁ、どーなの?」
「・・・・あるけどさ」
「やっぱ?無断外泊が多くて大変だったってお袋さん言ってたよ」
「それは!」
「昔の話なんだろ?」
「・・・・・」
「なんで、最近は家に帰ってくんの?もう遊んでねぇの?」
「それは・・・・受験生だから」
「家庭教師を追い出そうとしてたやつが?」
「うっ・・・・・・」
「ねぇ、なんで?」
「・・・・好きな奴が、出来たから」
「へぇー、ほぉー、ふーん」
「んだよ!」
「や、じゃぁたまってんじゃねぇの?」
「な!」
「あー、お兄さんも溜まってるんだよなぁ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・」
「お前。俺のこと好きだろ」
「・・・・・・・」
「いいよ、やっても。言ったろ?溜まってんだって」

それが切っ掛けだったのかしらないが。
大悟は俺にかぶさってきた。
うわ、もうがちがちじゃん。
アソコ。
いいねぇ、若いって。
お前はほんとに分かりやすい。
図星を指されると無言になるところとか。
ばればれだっつーの。
まぁ。
たまには。
お兄さん、若いエキスをもらいましょうかねぇ。


その後、俺がしだいにマジになって、ミイラ化するのはまた別の話。







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